
こんにちは。心道塾の中澤です。
ここでは不定期に、僕の思いや考えていることを綴っていこうと思います。
少しでも共感してもらえたり、励みになれば嬉しいです。
なぜ心道塾では三食を自分たちで作るのか
心道塾では、塾生たちが朝・昼・夕の三食すべてを自分たちで作るという方針をとっています。
これは「生活力」を育てるための大切な取り組みのひとつです。
最近は「生活支援型」と言いつつ、食事は業者任せだったり、提供されたものを食べるだけという施設も少なくありません。
ですが僕は、自分で作って食べるという行為こそが、自立への大きな一歩になると考えています。
まずは規則正しい生活リズムから
心道塾の食事は、「まず基本を徹底する」ところから始まります。
朝は固定メニュー(ご飯・納豆・味噌汁・卵料理)で、まずは時間通りに起きてきちんと用意し、きちんと食べる習慣を作ります。
昼は焼きそばやうどん、そうめんなど、簡単な炭水化物メニューが中心。
自分で用意することのハードルを下げて、まずは「自分で作る → 食べる」という基本動作を定着させることを大切にしています。
夕食には段階的な「楽しさ」も取り入れていく
夕食は、ある程度生活が安定してきた段階から「楽しさ」も意識していきます。
鍋や焼肉など「みんなで囲むメニュー」も少しずつ取り入れて、「食を囲む悦び」や「団らんの場の空気」を体験してもらうことが目標です。
これまで一人で黙々と食事をしてきた子が多いため、「誰かと一緒に楽しく食べる」という経験自体が貴重になります。
そうした時間を通して、自然と会話が生まれたり、人との距離感が少しずつ育っていくんです。
塾長より
自立支援というと、どうしても「就労」や「学び」の面に目が行きがちですが、僕はそれ以上に「生活の土台」が大事だと思っています。
その中でも、毎日自分で食事を作るというのは、実はとても大変なことです。
でも、それを保護者の方はずっとやってこられたわけです。
実際にやってみることで、身をもって親への感謝も生まれるのではないかと思っています。
僕自身、社会人になって実家を出るまで、そんなこと考えたこともありませんでした。
米の炊き方すら知らず、洗剤で米を洗うんだと信じていたくらいです(笑)。
それが、自分で米が炊けるようになり、味噌汁やおかずを作れるようになったときの喜びと同時に、親の偉大さを本当に実感したものです。
ここでは、そうやって心に刺激を与えるのです。
無気力状態のときに「働け」と言ったり、怒鳴り散らして無理やり言うことを聞かせたりしても、効果はありません。
成功も失敗もたくさん経験させて、その都度フィードバックし、次はどうしようかを共に考えていく。
「今日のご飯は上手にできたじゃん! 次は副菜も作ってみるか?」とか、
「明日は煮物食べたくね?」とか、
「今日はしょっぱすぎだなこれ(笑)」とか。
そんな何気ないやりとりの中に、前を向くきっかけが生まれていきます。
食育と呼んで良いのかは分かりませんが、僕自身、食べることが好きで、出されたものは残さず食べるとか、作ってもらったら「ありがとう」と言うとか、自分の子供にもそう教育してきました。
食を通じて楽しむことも、学ぶことも、同時に指導していきたいと思っています。
もちろん、いきなり「全部自分で作れ!」なんて言いません。
それぞれのレベルに合わせて、段階的に取り組んでもらいます。
まずはお米を研いで炊飯器で炊くところから。
食べた後の食器を洗うことから始め、そこから少しずつステップアップしていきたいと考えています。
刃物や火の取扱いについては、本人の成長に伴い、段階を踏んで安全に実施していきます。
最終的には一人暮らしを想定して、ひと通り自分で食事が用意できるレベルを目指して指導していきます。
食物アレルギーやどうしても食べられないものなどがある場合は、面談時に必ずお伝えください。
しっかり配慮しながら、無理のない形で取り組んでいきます。
心道塾では、こうして少しずつでも前を向けるようなサポートを大事にして、
日々の生活の中から育てていきたいと思っています。
今後も、塾生たちと一緒に楽しみながらこの取り組みを続けていきたいと思います。