スマホ・ネット依存が引きこもりを悪化させる? 支援現場から見た注意点と対策

こんにちは。心道塾の中澤です。

ここでは不定期に、僕の思いや考えていることを綴っていこうと思います。
少しでも共感してもらえたり、励みになれば嬉しいです。


インターネットやスマホの使用について

心道塾では、入塾当初はスマートフォンやインターネットの使用は制限させていただいています。
なぜこのような方針を取っているのか、今日はその理由をお伝えしたいと思います。

なぜスマホやインターネットを制限するのか

現代の生活においてスマホやインターネットは欠かせないツールです。
TVや新聞よりも必要な情報だけを瞬時に取得できる点は非常に便利で、今や生活必需品と言っても過言ではありません。

ですが、この「欲しい情報だけを選んで見る」という特徴こそが、大きな落とし穴にもなります。

僕はこれまで支援現場で多くの若者たちと接してきましたが、長年スマホやネット中心の生活をしてきた方ほど、価値観や世界の見方が極端に偏ってしまっているケースが多く見られます。

本人が「これは必要ない」「興味がない」と感じた情報は一切入ってこなくなります。
その結果、「自分の好きなもの・都合のよい考え」だけで世界が作られていく
外の世界とのギャップに対する耐性がどんどん低下していきます。

この状態のまま社会に出ようとすると、ちょっとした違和感や注意を受けた時に過剰な拒否反応を示してしまったり、人間関係がうまく築けなかったりするのです。
僕はそういう場面も何度も見てきました。

また、ゲームやSNS、動画配信などは現実逃避の手段にもなりやすく、昼夜逆転や引きこもり状態が固定化される原因にもなります。

さらに怖いのは、ネットの世界は一見「自分の居場所」のように感じられる反面、承認欲求や比較意識がどんどん刺激され、自己肯定感が逆に下がってしまうということです。

僕が見てきたケースでも、「スマホがなかったら何をしていいかわからない」という状態にまでなってしまった方が何人もいます。
その段階になるとスマホ依存が生活の中心になり、現実の生活を立て直すのに相当な時間と労力が必要になります。

ですから、決してスマホやネットそのものが悪いとは思っていませんが、心が整っていない段階で自由に使わせることは本人のためにならないのです。

これは保護者の方にぜひ知っておいていただきたい大事なポイントです。
「うちの子は家で大人しくスマホを見ているから平和だ」と思っていても、その裏側で自己肯定感や現実適応力がどんどん落ちていることもあります。

僕はそうした「静かな進行型のリスク」こそ、一番怖いと感じています。

「ダメだから」ではなく「回復を優先する」ための制限

僕はインターネットそのものが悪いとは思っていません。
でも心が整っていない段階で自由に使わせることは本人のためにならないのです。

厳しい軍隊のように無理やり取り上げるわけではありません。
これは本人が根底から自分の意思で変わるための環境作りの一つです。

「スマホがないとやっていけない」という依存状態のままでは、本当の意味での自立は難しいです。
だからこそ、まずは生活リズムと心の安定を取り戻すことを最優先にしています。

段階的な使用の許可

心道塾では、スマホやインターネットの使用は段階的に許可していきます。

  • 入塾当初 → スマホはお預かり
  • 生活リズム・行動が安定してきた段階 → 使用時間を決めて一部許可(事前に家族とも共有)
  • 卒塾が見えてきた段階 → 自立に向けた適切な使い方のトレーニングを行いながら段階的に使用を広げる

こうすることで、スマホやネットを道具として正しく使える力を育てていきます。
「制限すること」が目的ではなく、自分でコントロールできる状態になることが目標です。

保護者の方へ 〜強めのメッセージ〜

家にいたままでは、なかなかネット環境から本人を遠ざけることは難しいのが現実です。

僕もこれまでたくさんのご家庭からご相談を受けてきましたが、「家ではどうしても言い聞かせきれない」「取り上げようとすると関係が悪化してしまう」というお悩みは本当に多いです。

ですが、一旦生活環境を物理的にガラリと変えることで、意外と本人もすんなりと受け入れることができる場合が多いのです。
むしろ「ちょっとスマホから離れたい」という心のサインを出している子も少なくありません。

お悩みの方は、どうぞ早めにご相談ください。
タイミングが早いほど、立て直しのスピードも変わってきます。

まとめ

スマホやインターネットは便利な反面、とても扱いが難しいものでもあります。
焦らず段階を踏みながら、「自分でコントロールできる」状態を一緒に目指していきましょう。

僕たちはご家庭の味方として、しっかりサポートさせていただきます。

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